令和3年度(第76回)文化庁芸術祭参加公演

第3回 藤堂叶倫朗読公演 霜月の会

会場

伝承ホール 渋谷区文化総合センター

開演

2021-11-09 13:30:00

作家

森鴎外他

作品名

「高瀬舟」:森鴎外 / 「うらぼんえ」:浅田次郎

演者

この公演を、本日のお客様へと共に、故・秋山雅子氏そして逝ってしまった大切な人たちに捧ぐ

〈下記プログラムより引用〉

2016年にこの「うらぼんえ」の初演を行いました。その折、来場してくれた友人、故・秋山雅子氏から「藤堂さんこの公演は、是非“文化庁芸術祭参加公演”に応募するべき」と助言をもらいました。彼女とは、朗読のオーディションやコンクールの審査員としてご一緒させて頂き、帰りにお茶をしながら色々とお話するのをお互い楽しみにしておりました。アナウンサー出身の彼女、演劇出身の私、朗読のスタンスは全く違うのですが、むしろ違うからこそお互いを大切に出来ていたのかもしれません。しかしながら突然、2018年6月に彼女の死をご主人様から聞かされました。かねてより腰の痛みに耐え生活しておられ、2018年6月4日には天皇皇后ご臨席の海上保安庁音楽隊式典MCの為に、両方の松葉杖をついて現地に向かわれ、本番では杖無しでしっかり立ち、お役目を果たしたそうです。きっと素晴らしいMCだったと確信します。その1週間後に痛みに耐えかねて救急車で搬送され、はじめて副腎の癌が発見されそのまま一週間後に帰らぬ人となりました。どれだけ苦しく痛みに耐えMCに臨んだのか、彼女の責任感と執念を讃えたいと思います。もし彼女が急逝されてなかったら、文化庁芸術祭参加公演への助言は、私へのやさしいリップサービスと受け取り応募はしなかったと思います。しかし今となって彼女が遺してくれた言葉と受け止め、今回応募させて頂きまして承認される運びとなりました。
一昨年から今年にかけて、私に舞台発声を教えて下さった横浜ボートシアター代表・演出家の遠藤啄郎先生、そして大学時代の恩師であり卒業後も公私共にご助言下さった高田留奈子先生、そして今年の2月には、最愛の母も逝ってしまいました。まだ、誰の死も受けとめられないままに日々を過ごす毎日でございます。近頃は“あちら組”になってしまわれたお世話になった方々を、亡くなってしまったと思わないことにしております。
本日の朗読作品である「うらぼんえ」のちえこがおじいちゃんから返事をもらったように、逝ってしまった方々から朗読や生活の様々な場面で仰って頂いていたアドバイスがしっかりと届き、貴重なる会話が出来ているからです。
そしていつの日か私も“あちら組”になった時には、“こちら組”の方々を支える側に回れますように日々努力する所存でございます。

皆様のお力添えに感謝しつつ 2021年10月 藤堂叶倫 記

令和3年度文化庁芸術祭参加公演終演後挨拶

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